ぬくもり

ここは、9人の少年少女が住む大きな家。

時計の針は午後11時を回っているというのに、最年少の少女・サファイアは目をこすりながら廊下を歩いていった。

彼女は、有る部屋の前に立ち止まると、力なくドアをノックした。

「はい?」

彼の声がした。
彼女はその声に愛しさを覚えながらも言った。

「サファイアったい。ルビー?おるんか?」

ガチャ

ドアが開いて、彼が顔を出した。
彼は突然の訪問に少し驚きながらも、いつもよりやさしい声で言った。

「なにしてるんだ?こんな時間に…いつも寝てるじゃないか。」

「…ねむれないったい……寝ると…やな夢みるけん…」

彼女は、先日野生の見知らぬポケモンに破れて以来、その悪夢を毎晩見るようになっていた。
バトル好きで負け知らずに近かった彼女にとっては、恐怖が人一倍強かったのだ。

「…で?僕にどうしろと?」

ちょっと困った顔をして、いつもの声に戻った彼は、

「まさか、絵本でも読んでくれ、なんて事はないよな??」

と、笑いながら付け加えた。

彼女は戸惑いながらも絞り出したようにやっと言葉を出した。

「ねむれ…ないばってん、ルビーの部屋でねかして。」

へ?とでも言うように、びっくりした彼はしばらく黙ってしまった。

「一人は…嫌………」

彼は、こんな彼女を初めて見た。
いつも負けん気が強くて、意地を張ってばかりの彼女だが、今はまるで弱った鳥の雛のように繊細に思えた。

僕を頼ってくれるのか。

彼は、彼女を見て、言った。

「わ、わかったよ。何もすんなよ。」

彼女が笑った。今日始めてみせる笑顔だった。


彼の部屋は、几帳面な彼らしく、きちんと整理してあった。
彼女が布団にはいると、さっきまで彼が寝ていたのか、少しの暖かさと、ほんのり香る彼の香りが彼女を包んだ。

「これがぬくもり言うとね」


自分の言葉を噛みしめるように独り言を言っていると、彼は振り向いて。

「へ?なんだよ、こっちは素面で寝なきゃなんないのに…」

と、照れくさそうに言うのだった。

その夜、彼女がぐっすり眠れたというのは、言うまでもない。




後書き

コレは、リニュ前のレイパに置いてあったものを少し改良したものです。
改良とか…できてねぇ〜〜orz
でも、ルサ好きです。。
こんなに甘酸っぱい恋愛が他にあるか?!?って感じで好きです。(は
照れ屋な二人の恋愛は書いててこっちが照れますw
感想くれるとうれしいです!
でゎぁ〜